【オン資】顔認証カードリーダーは買い替えるべき? 保守期限後の考え方

前回の記事で「顔認証付きカードリーダーの保守期限」が迫っているとお伝えしました。

では実際保守期限が切れそうな場合「すぐ買い替えた方がいいの?」「どんな選択肢があるの?」と悩みますよね。

結論からお伝えすると、多くの医療機関では、今すぐ買い替える必要はありません。

2026年4月にはキヤノンから次期顔認証付きカードリーダーモデルの「Hi-CARA2」が発売され、「新しいのが出たなら後継機種に買い替えでいいか」と検討している方も少なくないでしょう。

現在キヤノン以外のカードリーダーを使用している施設でも「次期機種に入れ替えが必要なの?」と悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。

ですが今回は、あえて「もう少し様子を見ましょう」という立場から、その理由とこの機会にこそ考えておきたいことを整理してお伝えしていきます。

キヤノンの次期モデル「Hi-CARA2」が登場

2026年4月下旬、キヤノンマーケティングジャパンから次期顔認証付きカードリーダー「Hi-CARA2(ハイカラツー)」が発売されました。厚生労働省が定めた次期モデルの新要件を満たした製品です。

次期カードリーダーの要件とは

そもそも次期顔認証カードリーダーとは何か?疑問ですよね。

顔認証カードリーダーが登場して5年、現行機種の保守期限が2026年3月末から順次到来することに加えて、現行機種での課題や今後のニーズを踏まえて、患者・医療機関双方の利便性をさらに向上させるために単なる後継機種ではなく、次期顔認証付きカードリーダーとしての要件が定められました。

具体的にはスマホのマイナ保険証読み取り、音声案内、テンキー、画面レイアウトの改善などです。

少し前にマイナンバーカードがスマホ搭載できるようになり、医療機関でもスマホマイナ読み取り用の汎用カードリーダーの後付けが目立ちました。こういった新たに求められる機能を、後付け・外付けを繰り返すのではなく、顔認証カードリーダー本体に組み込むことや、今後想定される医療機関での運用変化に柔軟に対応できるよう要件定義されています。

Hi-CARA2の主な進化点

これらの次期カードリーダー要件に沿って開発されたのがキヤノン社のHi-CARA2です。

従来機(Hi-CARA)からの主な進化点は次のとおりです。

  • テンキーと音声案内を一体化:暗証番号入力用のテンキーと、目の不自由な方向けの音声案内スピーカーを1台に標準搭載
  • 旧機種との併用が可能:1台の資格確認端末に、追加ライセンス費用なしでHi-CARAとHi-CARA2を合わせて最大4台まで接続可能

従来機から外付けなしでスマホマイナ保険証へ対応ができていた唯一のメーカーですが、次期カードリーダーの機能要件を追加しどのメーカーよりも早く発売となりました。また、キヤノンは複数台設置が比較的容易で複数台での運用を考えている施設には、選択肢の一つになります。

ただし、他メーカーの発売がされていないため、価格の妥当性や機能の優劣はまだ判断できません。

それでも「今は様子見」をおすすめする理由

冒頭お伝えした通り、まだ「今は様子見」をおすすめします。

理由①:他メーカーの次期モデルがまだ出揃っていない

2026年6月時点で、次期モデルとして申請しているのはキヤノン・パナソニック・リコーの3社です。このうち実際に発売されたのはキヤノンのHi-CARA2が先行している状況で、パナソニックなど他メーカーの次期モデルはまだ出揃っていない状況です。

メーカーごとに形状も操作性も、電子カルテやレセコンとの相性も大きく異なります。1社だけを見て決めてしまうのは、選択肢を狭めることになりかねません。各社が出揃ってから比較した方が、納得のいく選び方ができます。

理由②:保守期限が切れても使えなくなるわけではない

これも大切なポイントです。保守期限が切れたとしても、カードリーダー自体はそのまま使い続けられます。期限切れで困るのは「故障したときに無償の修理・交換が受けられなくなる」という点です。

つまり、今まだ問題なく動いていて、万が一故障したときの対応の道筋(有償修理の見積もりや、予備機の手配ルートなど)が立っているのであれば、もちろん慌てて買い替える必要はありません

まずはご自身の施設のカードリーダーの保守期限を確認することから始めてください。まだ余裕があるならその間にじっくり次のカードリーダー選定ができます。

理由③:補助金や制度の続報を待つ価値がある

次期(第2世代)顔認証付きカードリーダーの購入には、一部費用の補助があるとポータルサイト上で公表されていますが、具体的な補助要件や申請方法などはこれからです。補助要件の詳細が公表されてから、補助範囲を考慮し動いた方が、結果的に費用面で得をする可能性があります。

医療機関等向け総合ポータルサイト:KB0012771「第2世代(次期)顔認証付きカードリーダーの発売開始と補助金のご案内」

この5年で見えた「次の1台に望むこと」を整理する

様子見をおすすめするのは、決して「何もしなくていい」という意味ではありません。むしろこの待ち時間こそ、次の1台に何を求めるかをじっくり考える絶好の機会です。

運用が始まった当初は、誰もが手探りでした。右も左もわからないまま導入を進めたはずです。でも5年間使ってみた今なら、現場としての「こうだったらいいのに」が見えているのではないでしょうか。

求める性能や特徴、例えば・・・

  • 設置スペース:受付カウンターに余裕がなく、もっと省スペースな機種にしたい
  • 台数:マイナ保険証を使う患者さんが増え、1台では受付が混雑していないか。複数台あれば待ち時間を減らせないか
  • 設置場所:受付、発熱外来、ドライブスルーなど動線に合わせた設置場所になっているか
  • スマホマイナへの対応:スマートフォン搭載のマイナ保険証を提示する患者さんに対応したい
  • 操作性:高齢の患者さんや、スタッフにとって画面や案内はわかりやすいか
  • バリアフリー:車いすの方やお子さま、目の不自由な方に配慮できているか
  • 電子カルテやレセコンとの相性:今の組み合わせで不便はないか。一体型で運用できる機種はないか
  • トラブル時の対処:この5年間の障害やトラブル頻度は?適切なサポートが受けられたか。対処法はわかりやすかったか

などをポイントに考えてみてはいかがでしょうか。

思い当たるもの、ありませんか?

特に最近は、マイナ保険証を使う患者さんが目に見えて増えてきました。「受付が1台では回らない」「繁忙時間帯にもう1台ほしい」と感じている施設も多いのではないでしょうか。次期モデルは旧機種との併用もできますから、「買い替え」ではなく「増設」という選択肢も視野に入ります。

5年使った経験から感じる「不満」や「あったらいいな」「できたらいいな」こそが、次の1台を選ぶ重要な判断材料になります。

また、医師や経営者だけで判断すると現場から不満が出る可能性もあります。実際に使用するスタッフへのヒアリングも含め、例に挙げたようなポイントを参考にそれぞれの施設ごとの「次の1台に望むこと」を整理しておくことが大切です。

まとめ:焦らずに、少しずつ準備を始めよう

保守期限がきたからといって、すぐに買い替える必要はありません。大切なのは、焦って決めるのではなく、現状の課題整理と十分な情報収集をして計画的に動くことです。

  • キヤノン「Hi-CARA2」が発売。スマホ保険証対応・テンキー・音声案内などの一体化
  • ただし他社の次期モデルはまだ出揃っていないため、比較は今後
  • 保守期限が切れてもすぐ使えなくなるわけではない。故障時の道筋が立っていれば焦らなくてよい
  • 補助金の詳細など制度の続報を待つ価値がある
  • この5年で見えた「次の1台に望むこと」を今のうちに整理しておく

まずはご自身の施設のカードリーダー保守期限を確認し、「いつまでに決めればいいか」のタイムリミットを把握すること。他メーカーの次期顔認証付きカードリーダーが出揃うのは2026年夏〜秋頃とみられるため、それを待って比較する時間があるかどうかも保守期限と照らして確認しておくと安心です。そして次に、カードリーダーに望むことや現状課題の整理です。

後悔のない一台が選べるよう今後も新しい情報をお伝えしていきます。

筆者
カルテ兄さん

電子カルテベンダー勤務。
10年以上にわたり、電子カルテや電子薬歴の導入支援・操作説明・トラブル対応などに携わっています。

現場で実際によくあるITトラブルや運用上の困りごとを、できるだけわかりやすく整理してまとめています。

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