前回の記事で「顔認証付きカードリーダーの保守期限」が迫っているとお伝えしました。
では実際保守期限が切れそうな場合「すぐ買い替えた方がいいの?」「どんな選択肢があるの?」と悩みますよね。
結論からお伝えすると、多くの医療機関では、今すぐ買い替える必要はありません。
2026年4月のキヤノン「Hi-CARA2」を皮切りに、8月にパナソニック、10月にリコーが第2世代(次期)顔認証付きカードリーダーを発売し、3社の製品が出揃いました。補助金の申請受付も3社とも始まっています。「新しいのが出揃ったなら、そろそろ買い替えるべきか」と検討している方も少なくないでしょう。
現在キヤノン以外のカードリーダーを使用している施設でも「次期機種に入れ替えが必要なの?」と悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが今回は、あえて「慌てて買い替えなくても大丈夫」という立場から、その理由と、この機会にこそ考えておきたいことを整理してお伝えしていきます。
第2世代カードリーダーが3社から出揃った
2026年4月下旬、キヤノンマーケティングジャパンから次期顔認証付きカードリーダー「Hi-CARA2(ハイカラツー)」が発売されました。厚生労働省が定めた次期モデルの新要件を満たした製品です。その後、2026年8月24日にパナソニック コネクト「XC-STFR3J-MN」、10月1日にリコージャパン「Caora 2」(富士通製Caoraの後継機)が発売されました。
次期カードリーダーの要件とは
そもそも次期顔認証カードリーダーとは何か?疑問ですよね。
顔認証カードリーダーが登場して5年、現行機種の保守期限が2026年3月末から順次到来することに加えて、現行機種での課題や今後のニーズを踏まえて、患者・医療機関双方の利便性をさらに向上させるために単なる後継機種ではなく、次期顔認証付きカードリーダーとしての要件が定められました。
具体的にはスマホのマイナ保険証読み取り、音声案内、テンキー、画面レイアウトの改善などです。

少し前にマイナンバーカードがスマホ搭載できるようになり、医療機関でもスマホマイナ読み取り用の汎用カードリーダーの後付けが目立ちました。こういった新たに求められる機能を、後付け・外付けを繰り返すのではなく、顔認証カードリーダー本体に組み込むことや、今後想定される医療機関での運用変化に柔軟に対応できるよう要件定義されています。
Hi-CARA2の主な進化点
これらの次期カードリーダー要件に沿って開発されたのがキヤノン社のHi-CARA2です。
従来機(Hi-CARA)からの主な進化点は次のとおりです。
- テンキーと音声案内を一体化:暗証番号入力用のテンキーと、目の不自由な方向けの音声案内スピーカーを1台に標準搭載
- 旧機種との併用が可能:1台の資格確認端末に、追加ライセンス費用なしでHi-CARAとHi-CARA2を合わせて最大4台まで接続可能
従来機から外付けなしでスマホマイナ保険証へ対応ができていた唯一のメーカーですが、次期カードリーダーの機能要件を追加しどのメーカーよりも早く発売となりました。また、キヤノンは複数台設置が比較的容易で複数台での運用を考えている施設には、選択肢の一つになります。
3社の価格・仕様の違いは「第2世代顔認証付きカードリーダー3社比較|価格・仕様まとめ」で詳しくまとめています。
それでも慌てて買い替えなくてよい理由
3社が出揃ったとはいえ、保守期限が来たからといって、すぐに買い替えなければならないわけではありません。
理由①:保守期限が切れても使えなくなるわけではない
これも大切なポイントです。保守期限が切れたとしても、カードリーダー自体はそのまま使い続けられます。期限切れで困るのは「故障したときに無償の修理・交換が受けられなくなる」という点です。
つまり、今まだ問題なく動いていて、万が一故障したときの対応の道筋(有償修理の見積もりや、予備機の手配ルートなど)が立っているのであれば、もちろん慌てて買い替える必要はありません。
まずはご自身の施設のカードリーダーの保守期限を確認することから始めてください。まだ余裕があるならその間にじっくり次のカードリーダー選定ができます。
理由②:補助金の申請期限まで、まだ時間がある
第2世代カードリーダーの購入には補助金があり、2026年10月時点で3社とも申請受付が始まっています。申請期限は令和9年(2027年)2月1日なので、今月中に決めなければ補助が受けられない、という状況ではありません。
ただし、申請には購入・支払い後の領収書が必要です。発注から納品、設置までの期間も考えると、検討に使える時間は期限より短くなります。期限から逆算して、年内には候補を絞り始めるくらいのつもりでいると安心です。
医療機関等向け総合ポータルサイト:KB0012829「第2世代(次期)顔認証付きカードリーダーの導入に係る助成金について」
この5年で見えた「次の1台に望むこと」を整理する
慌てなくてよいというのは、決して「何もしなくていい」という意味ではありません。むしろ今こそ、次の1台に何を求めるかをじっくり考える絶好の機会です。
運用が始まった当初は、誰もが手探りでした。右も左もわからないまま導入を進めたはずです。でも5年間使ってみた今なら、現場としての「こうだったらいいのに」が見えているのではないでしょうか。
求める性能や特徴、例えば・・・
- 設置スペース:受付カウンターに余裕がなく、もっと省スペースな機種にしたい
- 台数:マイナ保険証を使う患者さんが増え、1台では受付が混雑していないか。複数台あれば待ち時間を減らせないか
- 設置場所:受付、発熱外来、ドライブスルーなど動線に合わせた設置場所になっているか
- スマホマイナへの対応:スマートフォン搭載のマイナ保険証を提示する患者さんに対応したい
- 操作性:高齢の患者さんや、スタッフにとって画面や案内はわかりやすいか
- バリアフリー:車いすの方やお子さま、目の不自由な方に配慮できているか
- 電子カルテやレセコンとの相性:今の組み合わせで不便はないか。一体型で運用できる機種はないか
- トラブル時の対処:この5年間の障害やトラブル頻度は?適切なサポートが受けられたか。対処法はわかりやすかったか
などをポイントに考えてみてはいかがでしょうか。
思い当たるもの、ありませんか?
特に最近は、マイナ保険証を使う患者さんが目に見えて増えてきました。「受付が1台では回らない」「繁忙時間帯にもう1台ほしい」と感じている施設も多いのではないでしょうか。次期モデルは旧機種との併用もできますから、「買い替え」ではなく「増設」という選択肢も視野に入ります。
5年使った経験から感じる「不満」や「あったらいいな」「できたらいいな」こそが、次の1台を選ぶ重要な判断材料になります。
また、医師や経営者だけで判断すると現場から不満が出る可能性もあります。実際に使用するスタッフへのヒアリングも含め、例に挙げたようなポイントを参考にそれぞれの施設ごとの「次の1台に望むこと」を整理しておくことが大切です。
整理ができたら、「第2世代顔認証付きカードリーダーの選び方」のフローチャートで、自院に合う1台を絞り込んでみてください。
まとめ:焦らずに、少しずつ準備を始めよう
保守期限がきたからといって、すぐに買い替える必要はありません。大切なのは、焦って決めるのではなく、現状の課題整理と十分な情報収集をして計画的に動くことです。
- 2026年10月にキヤノン・パナソニック・リコーの3社が出揃った
- キヤノン「Hi-CARA2」はスマホ保険証対応・テンキー・音声案内などを一体化
- 保守期限が切れてもすぐ使えなくなるわけではない。故障時の道筋が立っていれば焦らなくてよい
- 補助金は3社とも申請受付中。申請期限は令和9年2月1日なので、期限から逆算して計画的に
- この5年で見えた「次の1台に望むこと」を今のうちに整理しておく
まずはご自身の施設のカードリーダー保守期限を確認し、「いつまでに決めればいいか」のタイムリミットを把握すること。補助金の申請期限(令和9年2月1日)も、あわせて照らしておくと安心です。そして次に、カードリーダーに望むことや現状課題の整理です。
3社の価格や仕様の違いは「第2世代顔認証付きカードリーダー3社比較|価格・仕様まとめ」、自院に合う1台の選び方は「第2世代顔認証付きカードリーダーの選び方」で詳しくまとめています。買い替えを具体的に検討する段階になりましたら、あわせてご覧ください。
後悔のない一台が選べるよう今後も新しい情報をお伝えしていきます。


