【オン資】医療費助成のオンライン資格確認(PMH)|補助金申請は9月30日まで

マイナ保険証によるオンライン資格確認は、もう当たり前になりました。ですが、受付の仕事は本当に楽になったでしょうか。

子ども医療費、難病、ひとり親家庭——こうした医療費助成(公費)の受給者証は、いまだに紙で預かって、券面を目で見て確認し、手で入力している施設が大半です。保険証の情報だけがオンラインになっても、公費が紙のままでは、正しい計算にたどり着けません。

この公費情報もオンラインで取得できるようにする仕組みが「PMH(Public Medical Hub)」です。対応にはレセコンの改修が必要で、その費用には補助金が用意されています。申請期限は2026年(令和8年)9月30日。ただし昨年度は、期限を待たずに予算上限に達して受付が終了しました。

保険証だけのオンライン資格確認は、まだ「未完成」

オンライン資格確認で取得できるのは、今のところ健康保険の資格情報だけです。公費の情報は含まれていません。

そのため、窓口ではこんな運用が残ります。

  • マイナ保険証で保険資格は自動で取得できるのに、受給者証だけは紙で預かる
  • 券面の記号番号や有効期限を目で見て、レセコンに手入力する
  • 患者さんが受給者証を忘れたら、その場では公費が使えない

そして、アナログなオペレーションは確認漏れを生みます。有効期限が切れた受給者証をそのまま受け付けてしまった、記号番号を打ち間違えた、受給者証があることに気づかず後々返金が発生した——現場でも、返戻や患者さんへの追加請求、後日の返金につながるこうした経験はありませんか?人が目で見て手で登録する工程が残っている限り、ミスはゼロにはできません。

保険証と公費、その両方がオンラインで取得できて初めて、オンライン資格確認は完成形になります。

PMH(医療費助成のオンライン資格確認)とは

PMHは、自治体が発行する医療費助成の受給者証の情報を、マイナンバーカードによるオンライン資格確認で取得できるようにする仕組みです。デジタル庁が中心となって整備を進めています。

対応すると受付はこう変わります。

  • 受給者証の券面確認と手入力が不要になる
  • 有効期限切れや資格の取り違えといった確認ミスを防げる
  • 患者さんが受給者証を忘れても、その場で公費の資格が確認できる

補助金の内容と申請期限

PMHに対応するには、オンライン資格確認システムから出力された医療費助成の資格情報をレセコンに取り込むための改修が必要です。この費用に対して助成金(医療機関等におけるマイナンバーカード利活用推進事業)が用意されています。

補助額(医療費助成のオンライン資格確認に係る改修)

区分補助上限額補助率
診療所5.4万円事業費7.3万円を上限にその3/4
病院28.3万円事業費56.6万円を上限にその1/2
薬局(大型チェーン薬局を除く)5.4万円事業費7.3万円を上限にその3/4
大型チェーン薬局3.6万円事業費7.3万円を上限にその1/2
医療費助成のオンライン資格確認に係る改修を実施した場合(千円未満切捨て)

例えば診療所の場合、改修費が7.3万円かかったとすると、その3/4にあたる5.4万円が補助され、自己負担は約1.9万円です。もっと安く、たとえば4万円で済んだ場合は、その3/4の3万円が補助され自己負担は約1万円になります。

※この助成金は「マイナ診察券」(マイナンバーカードを診察券として使う仕組み)の改修も対象です。
 対象範囲はシステムベンダーに要確認。

申請期限は2026年9月30日 ただし早期終了の可能性あり

令和8年度の申請受付はすでに始まっており、申請期限は2026年(令和8年)9月30日です。

予算の範囲内で実施されるため、予算上限に達した場合は申請期限より前に受付が終了します。ポータルサイトにもその旨が明記されています。

そして昨年度は、実際に申請期限を待たずに予算上限に達し、受付が終了しました。
改修したにも関わらず補助金申請できず、今年度の補助金申請開始を待っていた医療機関もあります。

助成金の締切=「9月30日」 ではなく 「予算がなくなるまで」です。

改修が完了して書類が揃ったらできるだけ早く申請してください。申請には、システムベンダーから受け取る領収書(写)・領収書内訳書・チェックシートの3点が必要です(薬局はさらに施設基準に係る届出の写し等)。書類不備で受理されないケースも出ているようですので、ポータルサイトの申請手順書を一読してから進めるのが安全です。

医療機関等向け総合ポータルサイト KB0011208 「医療費助成のオンライン資格確認・マイナンバーカードの診察券利用に係る助成金について

対応している自治体はどれくらいあるのか

ここが、導入を考えるうえで一番現実的な論点です。PMHは、受給者証を発行する自治体側が対応していなければ、その自治体の公費情報をオンラインで取得することはできません。

厚生労働省が公表している状況(令和8年3月時点)では、参加・参加予定の自治体は次のように推移しています。

参加・参加予定(累計)R5年度R6年度R7年度
自治体(合計)5183622
都道府県02241
市区町村5161581
出典:厚生労働省「医療費助成のオンライン資格確認の状況(令和8年3月時点)」

令和6年度の183自治体から、令和7年度には622自治体(41都道府県・581市区町村)へと一気に拡大しました。このうち439自治体はR7年度からの新規参加です。1年で3倍以上に増えており、動きは確実に加速しています。

ただし、この数字は「参加」と「参加予定」を合わせたものです。システム改修を進めている段階で、まだ運用が始まっていない自治体も含まれます。「自分の地域の自治体が数に入っているか」だけでなく、すでに運用が始まっているのか、これから始まるのかも確認しておくと、導入時期の判断がしやすくなります。

出典:厚生労働省HP「医療費助成のオンライン資格確認自治体・自治体システムベンダ向けの情報」

都道府県による差が非常に大きい

ただ、注意すべき点が地域差です。同資料には、都道府県ごとの「管内市区町村の参加率」が示されていますが、その差は驚くほど開いています。

参加率が高い県としては

 茨城県 88.6%京都府 88.5%

 三重県 79.3%鹿児島県 74.4%/千葉県 74.1%/香川県 70.6%

これらの県では管内のほとんどの市区町村が対応済みで、公費もオンラインで確認できる環境が整いつつあります。

一方で、参加率が25%未満にとどまる県が多数あり、そもそも医療費助成のオンライン資格確認に参加していない(未参加の)都道府県も残っています

システムを導入したからといって自施設の地域で使えるかどうかは別の話です。

ご自身の施設がある自治体、そして患者さんが住んでいる周辺市町村が対応しているかは、厚生労働省が公表している参加自治体の一覧(市区町村名まで掲載されています)で確認できます。

今は対応自治体がなくても、いずれ必要になる

自施設の自治体や周辺市町村が未対応なら、紙の受給者証を確認する運用は変わらないため、今すぐ改修しても得られるメリットはほとんどありません。

ただこれは、「やらなくていい」ということではなく「今はまだ効果が出ないだけ」です。国は全国展開の方針を明確にしています。

そもそも医療費助成の対象制度や運用は自治体ごとに異なり、必要な改修内容がばらつきます。そのため準備が整った県・市町村から順に参加していくため、段階的に参加自治体が増える仕組みです。

そして、自治体が対応した後で慌てて改修しようとすると、その時に補助金が残っているかは分かりません。この助成金は予算上限で早期終了する性質のもので、来年度以降も同じ条件で続く保証はないという点だけは理解しておきましょう。

これから動くときの手順

  1. 自施設の自治体・周辺市町村の対応状況を確認する(厚生労働省の参加自治体一覧)
    厚生労働省HP「医療費助成のオンライン資格確認自治体・自治体システムベンダ向けの情報」
  2. レセコン・電子カルテのベンダーに相談する:PMH対応の改修が可能か、費用はいくらか、必要な作業内容
  3. 改修完了後、すぐに申請する:領収書(写)・領収書内訳書・チェックシートを揃えてポータルサイトから ※薬局は施設基準に係る届出の写しも必要なため注意

あわせて確認

オンライン資格確認等システムの管理画面で「医療費助成情報」を「利用する」に設定する必要があります。(この操作をもってPMHの利用規約に同意したものとみなされます)
設定方法はマイナ資格確認アプリの設定手順の記事で紹介している「環境設定情報更新」の画面と同じ場所です。

まとめ

  • 保険証情報だけのオンライン資格確認はまだ未完成。公費が紙のままでは確認漏れリスクが残る
  • 補助上限は診療所・薬局5.4万円、病院28.3万円(マイナ診察券の改修も含む※ベンダーに確認)
  • 今年度の申請期限は令和8年(2026年)9月30日。ただし予算上限で早期終了する(昨年度は申請期限前に締め切り)
  • 参加・参加予定は622自治体(41都道府県・581市区町村)まで拡大(令和8年3月時点)。ただし参加率の低い都道府県も多数あり地域差が大きい
  • 未対応の自治体なら今すぐの効果は薄い。ただし段階的に参加自治体は増加していくと見込まれるため、いずれ必要になる

自治体の対応状況を確認して、そのうえでベンダーに「PMH対応の改修費用や作業内容」について問い合わせてみてください。

なお、同じく2026年9月末が節目となる補助金として、電子処方箋の導入補助金もあります。どちらもベンダーへの発注が必要になるため、あわせて相談しておくとスムーズです。また、機器故障時の備えに使える補助金は申請期限が令和9年2月1日と先が長く、こちらは別枠で検討できます。

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