【オン資】マイナ資格確認アプリとは? 障害時の備え

「顔認証付きカードリーダーが故障した」「院内のネットワークがつながらない」――そんなトラブルに遭遇したことありませんか?

また、訪問診療や発熱外来、駐車場での対応など、受付の顔認証カードリーダーまで患者さんが来られない場面での資格確認に困ったことはありませんか?

今回は、そんな「いつもの受付ができない場面」を支えてくれる「マイナ資格確認アプリ」をご紹介します。私の肌感覚ですが、現場を回っていても存在自体を知らない医療機関がまだまだ多い印象です。無料で使えて設定も比較的簡単ですので、平常時の今こそぜひ知っておいてほしい内容です。

マイナ資格確認アプリとは?

マイナ資格確認アプリは、オンライン資格確認の実施機関(社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会)が無料で提供している公式アプリです。スマートフォンやタブレット、Windowsパソコンでマイナンバーカードを読み取り、患者さんの保険資格情報を確認できます。

2024年に訪問診療・訪問看護など「院外で資格確認したい」場面向けに運用が始まり、2025年4月からは、機器の故障時などに備えるバックアップ用途として、すべての保険医療機関・薬局で利用できるよう拡大されました。

ポイントは次の3つです。

  • マイナンバーカード読み取り対応のスマホ1台で使える(iPhone・Android対応。パソコンや一部タブレットで使う場合は市販の汎用カードリーダーを接続)
  • 専用回線(IP-VPN)が不要。通常のインターネット回線・モバイル回線で利用可能
  • アプリは無料。必要なのは事前の初期設定のみ

「院内の機器故障やインターネットが止まっても、スマホと電波さえあればどこでも資格確認できる」――これがこのアプリの最大の価値です。

どんな場面で使える?

① 訪問診療・訪問看護・往診

患者さんのご自宅や施設に訪問して診察をする場合です。

マイナ資格確認アプリを入れたスマホを持参すれば、その場でマイナンバーカードを読み取って資格確認ができます。本人確認は、暗証番号入力か、カードの顔写真と患者本人を医療関係者が目視で確認する方法が選べますので、寝たきりの方にも対応できる設計です。

事前に資格確認証やマイナンバーカードをクリニックに持ってきてもらったり預かったりする必要がなくなりますし、訪問診療等の場合、継続的に診療が続いている間は初回訪問時にマイナンバーカードでの資格確認を行うことで、2回目以降は訪問の都度マイナンバーカードを読み込ませることなく、継続して資格情報や診療情報の取得が可能です。(一定条件あり)

② 院内の「通常とは異なる動線」

発熱外来で患者さんを院内に入れず駐車場で対応する、ドライブスルー併設薬局で処方箋を受け付ける――このような受付カウンターを通らない動線でも、スマホを持ち出して資格確認ができます。

コロナ禍で発熱外来に積極的に取り組んだ医療機関は特に価値を実感しやすいはずです。駐車場で診察しているクリニックや発熱患者専用の診察入り口を設けている施設では、問診と一緒に資格確認まで済ませられれば、スタッフがマイナンバーカードを預かって窓口と往復する必要もなくなります。

③ 障害時のバックアップ

顔認証付きカードリーダーの故障、資格確認端末の不具合、ネット環境の障害時にも効果を発揮します。

マイナ資格確認アプリは通常のオンライン資格確認と通り道(回線)がまるごと別ルートですので、院内側のトラブルの影響を受けにくいのが強みです。

障害時、電子カルテやレセコンへの情報連携はできないにしても、アプリの画面上で患者の保険情報が確認できますので、一時的に手入力して本日分の会計をするには十分です。

以前の記事「突然使えなくなった時の原因と対処法」では障害時の切り分け手順を紹介しましたが、切り分けた結果「すぐには直らない」とわかったときの受け皿がこのアプリです。

また、顔認証付きカードリーダーの保守期限切れが増えるこれからは、万が一、顔認証カードリーダーが故障した場合「代替機がすぐ届かない」期間をしのぐ備えにもなり得ます。

もしもの備えとして用意しておいて損はないと思います。

知っておきたい注意点

  • 確認できるのは資格情報が中心:アプリ上で直接閲覧できるのは保険資格情報です。診療情報や薬剤情報の閲覧は院内の端末から行う必要があります。
  • 暗証番号入力か目視確認のみ:通常の顔認証付きカードリーダーのように顔認証での本人確認はできません。暗証番号入力かスタッフによる目視確認です。
  • レセコンとの連携は有償の場合あり:アプリで資格確認した情報を電子カルテやレセコンに取り込む場合、連携のためのシステム改修やオプションソフトが必要になる場合があります。お使いのシステムごとに対応が異なるため確認が必要です。
  • 院内障害時の使用はレセコン手入力:もちろんですが、レセコンと連動設定していたとしても、院内の機器やネットワーク障害時には、スマホのアプリ上で資格情報を閲覧するしかありません。レセコンへ手入力する運用です。
  • 事前の初期設定が必要:設定は本番環境(オンライン資格確認等システム)の管理者画面から自施設で行えます。

導入費用の補助制度について

【最新情報】訪問診療等・オンライン診療等・外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等)における助成金 申請を受付中

2026年7月5日時点の情報です。申請期限や補助内容は変更される場合があるため、最新の情報は医療機関等向け総合ポータルサイトでご確認ください。

KB0010237_訪問診療等・オンライン診療等・外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等)におけるオンライン資格確認等の導入に係る助成金について

・レセプトコンピューターの改修費用の一部

・モバイル端末や汎用カードリーダーの購入費用の一部

などの費用が補助対象です。

補助額の例

区分補助上限額補助率
病院41.1万円事業額の82.2万円を上限にその1/2
診療所・薬局(大型チェーン薬局を除く)12.8万円事業額の17.1万円を上限にその3/4
大型チェーン薬局8.5万円事業額の17.1万円を上限にその1/2
外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等)における補助上限額・補助率

※補助率・上限額・申請期限は変更になる場合があります。最新の情報は必ずポータルサイトでご確認ください。

まとめ:スマホ1台で、もしもの備え

  • マイナ資格確認アプリは国の実施機関(支払基金・国保中央会)が提供する無料アプリ。スマホ、PC、タブレットで保険資格を確認できる
  • 訪問診療・発熱外来など通常と異なる動線と、機器障害時のバックアップの両方で使える
  • 2025年4月からすべての保険医療機関・薬局が利用可能
  • 専用回線不要・工事不要。事前の初期設定が必須
  • アプリの画面上で患者の保険情報閲覧が可能
  • レセコン連携の可否はベンダーごとに異なるため確認が必要。有償の場合あり

受付にある資格確認PCや顔認証カードリーダーの補助ツールとして、準備しておくと万が一の障害時に安心ではないでしょうか。また、発熱外来やドライブスルーがあるクリニック・薬局では、業務の効率化を図れるかもしれません。

次の記事では、実際の設定に必要な準備と、本番環境側の具体的な設定手順を実際の画面を交えて解説します。

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