第2世代カードリーダー前編「第2世代顔認証付きカードリーダー3社比較|価格・仕様まとめ」では、キヤノン・パナソニック・リコージャパンの3社の仕様や価格、補助金の概要をまとめました。
後編となる本記事では、「結局、うちにはどれが合うのか」、選定のための具体的な判断基準をお伝えします。
筆者が選ぶなら何を基準に考えるかという視点で、クリニック・薬局の運用に合わせた選び方を整理しますのでメーカー選びの参考にしてみてください。
買い替えを具体的に検討している方向けの記事です。「そもそも今買い替えるべきなのか」で迷っている場合には、先に「顔認証カードリーダーは買い替えるべき? 保守期限後の考え方」をご覧ください。焦らなくてよい理由と、次の1台に望むことの整理法をまとめています。
※本記事の情報は2026年10月時点のものです。2026年10月1日にリコージャパン「Caora 2」が発売され、3社の第2世代カードリーダーが出揃いました。Caora 2は価格が見積り制で公表されていませんが、補助金は3社とも申請の受付が始まっています。新しい情報が出ましたら内容を更新していきます。
「今の困りごと」と「今後の使い方」を整理する
機種の選定をする前に、まずは「今の困りごと」と「今後の使い方」を整理しましょう。たとえばこんな視点で考えてみてください。
- 受付周辺のスペースが狭く、機器の置き場所に困っている
- カードリーダーを複数台設置したい(1台では足りない)
- カードリーダーを受付から離れた場所にも設置したい(発熱外来の窓口等)
- 資格確認端末(PC)も買い替えたい
受付に機器が多く設置場所に困っている施設と、混雑時のカードリーダー待ちを改善したい施設とでは、重視する機能が変わってきます。
また買い替えにあたっては、カードリーダー本体だけでなく、資格確認端末(PC)についても併せて検討する必要があります。
フローチャートで候補を確認する
私が医療機関から買い替えの相談を受けるとき、最初に確認するのは「設置場所」「操作性」「今使っているメーカー」の3つです。この順番で聞いていくと、ある程度候補の絞り込みができます。
フローチャートにまとめました。

Q1から順番に答えてください。
箇条書きの条件のうち、どれか1つでも当てはまれば「はい」に進みます。
「今使っているメーカー」より「設置場所・操作性の希望」を優先しています。今のメーカーに合わせてしまうのは簡単ですが、導入からの5年間で感じてきた不便や困りごとを解消することの方が重要だからです。
ここからは、Q1〜Q5のそれぞれの質問ごとの判断基準について解説します。
Q1 設置場所についての希望があるなら、パナソニックが候補
次のいずれかに当てはまる場合、私ならパナソニック コネクト「XC-STFR3J-MN」を第一候補に考えます。
- 受付のスペースを節約したい
- 資格確認端末を置きたくない
- 複数の窓口にカードリーダーを置きたい
- あとから設置場所を自由に変えたい
理由は、3社の中でパナソニックだけが資格確認端末(Windows PC)を本体に内蔵し、レセコンとの間をLAN接続でつなぐ設計だからです。キヤノンとリコーは従来どおり、カードリーダーをUSBケーブルで資格確認端末につなぐ構成です。
この違いが、4つの希望それぞれに次のように影響します。
| 希望すること | パナソニックが向いている理由 |
|---|---|
| ・受付のスペースを節約したい ・資格確認端末を別に置きたくない | 資格確認端末がカードリーダー本体に内蔵されているため、受付のPCを1台減らすことができる。 |
| ・複数の窓口に置きたい ・あとから設置場所を変えたい | 1台ごとに資格確認端末を内蔵しLANでつながるため、窓口ごとに独立して設置できる。USB接続の機種のようにPCからケーブルが届く範囲に縛られない。 LANがつながる場所であれば移動もしやすい。 |
資格確認端末(PC)の置き場所については、多くの医療機関で苦労していると思います。
クリニックや薬局の受付スペースは限られている中で、そこにはすでに様々な機器が置かれており、後からやってきた資格確認端末を置く余裕などないのが現実です。

現場を見ていても、足元の今にも蹴っ飛ばしてしまいそうな場所に置かれていたり、棚やラックの中に押し込まれていたりと、パソコンの設置場所として決して望ましい環境とは言えません。
通気口を塞いでいたり、ホコリを被ったりしていませんか?判別のつかないケーブル類であふれていませんか?
そんな置き場所の悩みを解消してくれるのはパナソニックの資格確認端末内蔵モデルです。別で資格確認端末を設置する必要がないためカードリーダー本体のみのスペースでよくなります。
ただし、注意点もありますので確認しておいてください。
パナソニックを選ぶ前に知っておきたいこと
- 複数窓口に置く場合、内蔵PCに別のカードリーダーをつなぐことはできないため、窓口の数だけ本体(379,500円・税込)が必要になる。
※診療所・薬局で補助金対象になるのは1台分のみ - 資格確認端末を内蔵した機種は今回が初めてで、使い勝手やエラー頻度など不明点も多い。
- 設定のために別途モニター等が必要な場合があり追加で費用発生する可能性もある。
- テンキーは別売(2026年10月発売予定)。
テンキーの補助金を受けるには本体と同時に申請する必要あり(本体だけで先に申請して交付されると、あとからテンキー分だけを申請することはできない)
「置き場所の自由」と引き換えに、費用と初物ゆえの不確実さを受け入れる形にはなりますが、それでも設置場所の悩みが切実な場合には、第一候補のメーカーでしょう。
Q2 操作性についての希望があるなら、キヤノンが候補
Q1に当てはまらず、次のいずれかを希望する場合は、キヤノンマーケティングジャパン「Hi-CARA2」が向いています。
- テンキーを含む一体型がいい
- 操作部を取り外して、自由な向きで使いたい(例:車椅子の患者さん、ドライブスルー)
これらの要望に対応できるのがキヤノンの特徴です。
- テンキーが本体と一体化している。入力用テンキーが標準で本体に付いているため外付け不要です(パナソニックは外付け別売、リコーは10月発売モデルには搭載がなく、テンキー付きは2027年5月発売予定)
- 操作部を取り外せる。車椅子の方や小柄な方に高さを合わせたり、患者側へ回り込まずに対応したりできます。第1世代Hi-CARAから引き継がれた構造です
目の不自由な方はもちろんですが、画面のタッチ操作が難しい高齢の患者さんにも物理的なボタンは操作しやすいでしょう。一体型ですのでスペースも取らずに設置できます。
操作部の取り外しについては、車椅子の患者さんへの対応が代表的な使い方です。
また、パナソニックとは異なり、1台の資格確認端末に(旧機種含め)最大4台までカードリーダーを接続できます。そのため単一の窓口で複数台のカードリーダーを設置したい場合には価格面でも有利です。
具体的には整形外科・耳鼻科・皮膚科など患者数が多く、いつもカードリーダー待ちの列ができてしまうような医療機関にはおすすめできます。
なお、キヤノンは資格確認端末とカードリーダーをUSBケーブルで接続する構成のため、設置場所はPCからケーブルが届く範囲に限られる点も頭に入れておくとよいでしょう。
Q3〜Q5 今使っているメーカーから判断する
Q1・Q2に当てはまらなかった場合は、今使っているメーカーを基準に考えます。同一メーカーの製品であれば、1台の資格確認端末に複数台のカードリーダーを接続可能な機種もあります。今後、複数台運用の可否に直結するわけです。
今ご使用中のメーカーごとの判断をまとめると、次のとおりです。
| 現在のメーカー | 第2世代の候補 | 1台運用を続ける場合 | 旧機種との混在 |
|---|---|---|---|
| パナソニック | パナソニック | 資格確認端末込みで1台に置き換え | 可能(第2世代は独立した1台として追加) |
| キヤノン | キヤノン | 今の資格確認端末をそのまま使える | 可能(最大4台・追加ライセンス費なし) |
| 富士通 | リコー | 今の資格確認端末をそのまま使える | 可能(最大4台・追加ライセンス費なし) |
ここからは、具体的な各社の判断ポイントを解説します。
Q3 パナソニック製を使っている場合
今後もカードリーダー1台の運用で問題ない、あるいは旧機種と混在させ複数台で使いたい、——そういった場合には、メーカーを変更せずにパナソニックの第2世代の採用がおすすめです。1台運用であれば省スペース化もできますし、既存の第1世代カードリーダーとの併用も可能です。
また、パナソニックを使用中の場合に知っておきたいポイントが2つあります。
1つ目は、今現在、資格確認端末を頻繁に操作・閲覧している場合です。
せっかく資格確認端末内蔵のカードリーダーになっても、オンライン資格確認の本番環境にログインして、資格情報や他院の診療・薬剤情報の閲覧を行っている場合には、結局ディスプレイ・キーボード・マウスなどの基本セットがあった方が利用しやすいでしょう。そうなると省スペース化のメリットが出にくいです。
2つ目は、一部のレセコンメーカーで対応している、レセコンや電子カルテへの直接接続をやめたい場合です。
レセコンや電子カルテのPCを資格確認端末と兼用している施設で「カードリーダーをつないでから動作が重い」「たまにフリーズする」という話を何度かお聞きしたことがあります。原因はさまざまで、必ずしもカードリーダーのせいとは限りませんが、悩み続けるくらいなら直接接続をやめてしまうのも一つの解決策です。
この場合、正直どのメーカーのカードリーダーを採用しても構わないのですが、これまで受付に資格確認端末を設置していなかったことを考えると、パナソニックを選ぶことで新たに置き場所に悩むことなく対応できて良いのではないでしょうか。
Q4 キヤノン製を使っている場合
今の資格確認端末を使い続けたい、旧機種と混在させたいという場合は、Hi-CARA2がもっとも「手間なく」移行できる選択肢だと考えます。第1世代と同じ接続方法ですので、資格確認端末側の設定変更も最小限で済みます。
また、資格確認端末の入れ替えがなければ、自分で設置することも可能なようですので、手順書や動画を見ながら届いたその日に設置でき、業者に作業依頼する必要も無さそうなのはメリットです。
資格確認端末の買い替えが必要な場合、もちろんセットアップ作業が必要になりますのでベンダーに依頼する必要が出てきます。毎日使用しているものですし、保守の観点からも5年程度での買い替えをおすすめします。
また、キヤノンで複数台運用を検討している場合、資格確認端末とはUSBケーブルでの接続になりますので設置場所が離れすぎていないかの確認もしておきましょう。
Q5 富士通製(Caora)を使っている場合
現行の富士通Japan製カードリーダーの後継機種になるのがリコージャパンの「Caora 2」です。販売会社が富士通Japanからリコージャパンに変わりますが、製品としては後継の位置づけです。2026年10月時点の状況を整理します。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 現行Caoraとの混在接続 | 可能(資格確認端末1台に最大4台、追加ライセンス費なし) |
| 資格確認端末 | 別途必要(USB接続) |
| 画面・サイズ | 7インチ画面、設置幅は現行機より約4cm狭い(設置面積は現行機より約37%小さい) |
| 保守 | 5年間 |
| 発売時期 | 2026年10月1日発売 |
| 価格 | 見積り制(公表なし) |
| 補助内容 | キヤノンと同じ(カードリーダーは購入価格の1/2・上限12.1万円、資格確認端末は1/3・上限5.0万円)。2026年10月から申請受付中 |
| テンキー | なし テンキー付きの新モデルは2027年5月発売予定。2026年10月発売のモデルにあとからテンキーを追加することはできない。 |
「1台運用の継続」「旧機種との混在」をする場合には、後継機であるリコーが第一候補となります。ただし、10月に発売されたモデルにはテンキーがなく、あとからテンキーを追加することもできません。テンキーが必要かどうかで、選び方が変わります。
テンキーがなくても運用できる場合は、今のCaora 2を選んで問題ないと考えます。テンキーが必要な場合は、2027年5月発売予定のテンキー付き新モデルを待つか、テンキー一体型のキヤノン(またはテンキーを外付けできるパナソニック)に乗り換えることになります。乗り換える場合はメーカーが変わるため、複数台運用では全台入れ替えか資格確認端末の追加が前提になる点にご注意ください。
全て「いいえ」なら、運用方針で選ぶ
Q1〜Q5のどれにも当てはまらなかった方は、どのメーカーも選択肢になります。具体的には次のような医療機関です。
- USEN-ALMEXやアトラス情報サービスの現行機種を使っていて、第2世代への買い替えでメーカーが変わることが決まっている
- 新規開業などで、初めて顔認証付きカードリーダーを導入する
- 設置場所や操作性に強いこだわりがなく、今のメーカーにも特別な思い入れがない
「どれでもいい」と言われると、かえって決めにくいものです。私が相談を受けた場合は、次の3つの観点で順番に絞っていきます。
- 総費用で比べる:本体価格だけではなく「本体+資格確認端末(必要な場合)+テンキー+設置・設定費-補助金」で比べます。キヤノンは資格確認端末が別、パナソニックはテンキーが別売、リコーは見積り制で、10月発売モデルにはテンキーがありません。設置・設定費は補助の対象外なので、見積りは機器代と作業費を分けて出してもらいましょう。
- 将来の台数追加で比べる:今は1台でも、2台目を追加する可能性が少しでもあるなら、資格確認端末1台に複数台接続可能なキヤノン・リコーの構成が費用面で有利です。パナソニックは資格確認端末内蔵のため1台あたりの価格が高めです。
- レセコン・電子カルテのベンダーに聞く:どの機種で設置実績があるか、設置対応できるか、費用はいくらかなど確認してみましょう。
余談ですが、上記で挙げた「ベンダーの設置実績」も実は大切なポイントのひとつです。使っている医療機関が多ければ、ベンダーも問い合わせ対応のノウハウが自然と溜まっていき、スムーズなサポートを受けることができます。
第1世代のカードリーダーで、1度だけアトラス情報サービス製のカードリーダーを導入したことがありますが、この機種はまだ見たことがない方がほとんどではないでしょうか?私も不慣れが故に設置作業に時間がかかってしまった記憶がありますし、操作について聞かれてもマニュアルを見ながら話すことしかできませんでした。
普段サポートしてもらっているベンダー担当者におすすめ機種を聞いてみると選択のヒントになるかもしれません。
発注前のチェックリスト
候補が決まったら、発注前に次の点を確認しておくと安心です。
- 今の資格確認端末を続けて使えるか(使えない場合は入れ替え費用も含めて比較したか)
- 複数台にする場合、同一メーカーで揃っているか
- 見積りが「機器本体」と「設置・設定作業」に分かれているか
- 領収書を受け取る流れが決まっているか(申請には領収書が必要。見積書では不可)
- 補助金の申請期限から逆算して、納品・支払いが間に合うか
補助金の最新の条件は、医療機関等向け総合ポータルサイト「第2世代(次期)顔認証付きカードリーダーの導入に係る助成金について」で必ず確認してください。
まとめ
- 選ぶ順番は「設置場所の希望」→「操作性の希望」→「今のメーカー」
- 省スペース・複数窓口・設置場所の自由を求めるならパナソニック。ただし台数分の本体費用と初物ゆえの不確実さは織り込む
- テンキーの一体型や操作部の取り外しを求めるならキヤノン
- 今のメーカーを続ければ、1台運用の継続も旧機種との混在もしやすい。富士通製の後継はリコーだが、2026年10月に発売されたのはテンキーなしのモデルで、テンキー付きは2027年5月発売予定
- どれにも当てはまらなければ、総費用・将来の台数・ベンダーの対応で選ぶ
3社の価格・仕様・補助金の詳しい比較は、前編「第2世代顔認証付きカードリーダー3社比較|価格・仕様まとめ」をご覧ください。「そもそも今買い替えるべきか」については「顔認証カードリーダーは買い替えるべき? 保守期限後の考え方」で整理しています。
2026年10月に3社の第2世代カードリーダーが出揃いました。追加情報や、Caora 2のテンキー付き新モデルの情報が出ましたら、更新していきます。迷ったときは、あらためてフローチャートに戻り「どれが合うのか」を確かめていただければ幸いです。

