【オン資】電子証明書更新を失敗しないために

「今朝から急に顔認証カードリーダーが使えなくなった」——調べてみたら、電子証明書の有効期限が前日に切れていた。担当のお客様からこうした連絡を受けることが度々あります。

電子証明書はオンライン資格確認導入時にベンダーがセットアップしてくれることが多いため、「そんなものがあったの?」という方も少なくありません。しかし、有効期限は確実にやってきます。この記事では、電子証明書とは何かというところから、更新の流れ、万が一期限が切れてしまった場合の対処法までを解説します。

電子証明書とは?端末の「身分証明書」です

オンライン資格確認は、医療機関の端末と支払基金のサーバーを専用のネットワークでつないで動いています。この通信をする際、「この端末は、利用申請をした正規の端末です」と相手のシステムに証明してくれるのが電子証明書です。支払基金と国保中央会が共同で運営する「共通認証局」というところが発行しています。

前回の記事「【オン資】回線認証とは?」で解説した回線認証が「正しい回線からの接続か」を確認する仕組みだとすれば、電子証明書は「正しい端末からの接続か」を確認する仕組みです。

回線認証が「回線の身分証」なら、電子証明書は「端末の身分証」ということですね。

回線と端末、両方の本人確認がそろってはじめて、資格確認の通信が成立します。国民の大切な個人情報扱っているためこのような仕組みになっています。

なお、電子証明書は資格確認端末1台につき1枚必要です。複数台で運用している場合は、端末ごとに有効期限があると考えてください。

有効期限は「発行から3年3か月」

電子証明書の有効期限は発行から3年3か月です。期限を1日でも(正確には1秒でも)過ぎると、その時点からオンライン資格確認は利用できなくなります。同じ端末・同じ証明書でオンライン請求(レセプト送信)も行っている場合は、レセプト請求もできなくなります。

ここで思い出していただきたいのが、ご自身の施設がいつオンライン資格確認を導入したかです。原則義務化に合わせて2023年前後に導入した施設は、ちょうど2026年〜2027年に最初の更新時期を迎えます。現場でも「更新の案内が届いたけれど、どうすればいいの?」という問い合わせが、目立って増えています。

「3年も先のことは今考えなくていい」は危険な発想です。「うちはまだ先」と思っている施設ほど、実は今年が更新の年かもしれません。

更新時期に気づくための3つのルート

1. メールでのお知らせ

医療機関等向け総合ポータルサイトに登録したメールアドレス宛てに、更新時期の案内が届きます。

ただし注意したいのが、登録メールアドレスが「前任の事務長のまま」「導入時のベンダー担当者のまま」になっているケースです。案内は届いていたのに誰も見ていなかったとならないよう、ポータルサイトの登録メールアドレスが正しく設定されているか確認してみてください。

2. 端末画面のお知らせ

資格確認端末に入っている「MPKIクライアント」(証明書発行・更新アプリ)が、有効期限の90日前・60日前・30日前・15日前、そして7日前からは毎日、画面にお知らせを表示します。

ただし、端末を再起動せずつけっぱなしで運用していると、この通知に気づきにくいことがあります。実際に「電源を入れっぱなしにしていたため案内を見逃した」というケースもちらほら。電子証明書の更新期限通知に限らず、最新のバージョンアップを受信できない原因にもなりますので、定期的に手動で再起動することをおすすめします。

3. 自分で確認する

  • 導入時に簡易書留で届いた「電子証明書発行通知書」に有効期限が記載されています
  • 端末上で確認する場合は、画面左下の検索窓に「ユーザー証明書」と入力し、「ユーザー証明書の管理」→「個人」→「証明書」を開くと有効期限が表示されます

電子証明書の更新手順

更新は有効期限の90日前から行えます。それより前は、システム上で更新操作ができません。

MPKIクライアントでの更新(標準的な方法)

標準的なのは、端末にインストールされている「MPKIクライアント」を使う方法です。画面右下のタスクトレイからMPKIクライアントを開き、「証明書の更新」を実行する流れで、作業自体は10分もかかりません。

詳細な手順は、医療機関等向けポータルサイトの手順書をご確認ください。最近更新されわかりやすい手順に改版されています。

医療機関等向け総合ポータルサイト:KB0011320_電子証明書の更新方法について

1つだけ手順書を読む前に知っておいてほしい注意点があります。更新の途中で、バックアップファイル用のパスワードを設定する場面があります。

バックアップした証明書のパスワードは、設定したその場で必ずメモしてください。

電子証明書のバックアップは、端末の故障時や電子カルテ入れ替えのタイミングで必要になります。そういった場面で「パスワードを控えていない」「設定した記憶がない」という医療機関を数多く見てきました。私の感覚ですが4〜5割ぐらいの医療機関の方はパスワードを覚えていません。医療機関の電話番号や「1234」などがわかりやすいパスワードが設定されていればまだいいのですが、想像もつかないようなパスワードだと、せっかく証明書のバックアップ残っていても使用することができません。その場合、再発行になり無駄な時間と費用がかかってしまいます。

電子証明書1枚あたり:ライセンス料 1,500円(税込)
発行通知書1通あたり:郵送手数料 (令和8年度(令和8年4月1日)より792円(税込)

「これぐらいの金額なら別にいいか・・・」と考えていませんか?費用がかかるだけではありません。

機器故障の場合、代替機が用意できたとしても電子証明書がなければ一切のオンライン資格確認が使えない状態になります。再発行の申請をしても発行までに数日かかりますので、その間の診療に大きな影響がでること忘れてはいけません。

MPKIクライアントが入っていない・うまく動かない場合

MPKIクライアントが入っている場合と異なり、別の手順での作業が必要です。

医療機関等向け総合ポータルサイトの「電子証明書発行申請」ページから証明書の更新を申請し、証明書をダウンロードしてインストールします。ブラウザごとの手順書がポータルサイトに用意されています。

注意点として、証明書のダウンロードには発行から180日以内という期限があります。「申請したから一安心」と放置しないようにしてください。

レセコン一体型・保守契約がある場合

まずは専用の更新マニュアルがないか、システムベンダーに問い合わせてみましょう。

遠隔操作や訪問で更新を代行してもらえる場合もありますが、保守契約の内容によっては有償の場合があります。決して難しい作業ではありませんので、自力で作業可能だと思います。

作業そのものは15分程度です。更新期限をきちんと把握し、「忘れずに動き出す」ことが大切です。

更新後に確認しておくこと

更新作業が完了したら、実際にオンライン資格確認が動作するかを必ず確認してください。更新直後は再起動が必要なケースもあります。確認事項は主に次の3点です。

  • 顔認証カードリーダーが起動するか
  • マイナンバーカードで受付できるか
  • 電子カルテやレセコンで資格確認証や保険証による資格確認ができるか

また、電子証明書のバックアップファイルはUSBメモリなど端末外の安全な場所に保管し、「いつ更新したか」を残しておくと、次回の更新タイミングを把握しやすくなります。

「更新が終わった」で完了ではなく、「動作確認とバックアップ保管」までやって本当の作業完了です

期限が切れてしまったときの対処法

マイナ保険証の読み取りができなくなった場合、窓口では次のように対応できます。

  • 資格確認証をお持ちの患者さんは、資格確認証を見せてもらい対応する
  • マイナ保険証のみの患者さんは、マイナポータルの資格情報画面の提示や被保険者資格申立書などで対応する

あくまでこれらは一時的な対応です。現場の作業負担増になりますので、なるべく早い復旧を目指しましょう。

復旧までの流れ

  1. 医療機関等向け総合ポータルサイトから電子証明書の発行申請をする
  2. 「電子証明書発行通知書」が簡易書留で郵送されてくる(約1週間)
  3. 通知書の情報を使って、証明書ダウンロード・インストールする

発行料1,500円(税込)と郵送手数料792円がかかります。ただ、何より痛いのは復旧までの数日〜1週間、マイナ保険証の受付ができないことです。マイナ保険証での受診が少しずつ浸透してきた今、窓口が混乱するだけでなく、患者さんにも迷惑をかけてしまいますし印象が良くありません。マイナ保険証の利用率も下がってしまいます。

慌てず焦らず、でも早急に再発行申請をしましょう。

ただし、「カードリーダーが急に使えない=必ず証明書が原因」とは限りませんので、原因の切り分けは、「【オン資】突然使えなくなった時の原因と対処法」を参考にしてください。

期限切れを防ぐ3つの習慣

  1. 今すぐ有効期限を確認して、カレンダーに登録する
    期限の3か月前に「電子証明書の更新」という予定を、院内の共有カレンダーやレセコンの予定管理機能に入れる。
  2. 担当者を決めて、ポータルサイトの登録メールアドレスを見直す
    「誰かが気づくだろう」がいちばん危険です。事務長・主任など、確認する人を1人決めましょう。
  3. 資格確認端末を定期的に再起動する
    週1回でもかまいません。手動で再起動することで、MPKIクライアントの通知を確認する機会が生まれます。

あるクリニックでは、受付のカレンダーに「電子証明書更新!!」とスケジュールが書き込まれていました。90日前のお知らせを確認したらすぐに作業日を決めてしまうといいかもしれません。

まとめ

  • 電子証明書は端末の「身分証明書」。有効期限は発行から3年3か月。
  • 期限が切れるとオンライン資格確認(場合によってはオンライン請求も)が止まる。
  • 更新は期限の90日前から可能。MPKIクライアントなら作業は15分程度。詳細手順はポータルサイトの手順書を確認。
  • バックアップ用パスワードは必ずメモする。更新後は動作確認とバックアップ保管まで行う。
  • 更新費用は1,500円(税込)。再発行する場合、郵送手数料792円がかかる。
  • 通知だけに頼らず、カレンダー登録・担当者決め・定期再起動で「仕組み化」する。

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